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遺産の相続人が誰もいない場合、相続財産ってどうなるんですか?

「相続財産清算人」の選任申立をすることが想定されます。ですが、高額な予納金や期間までの見通し等、予め検討しておいた方がよいことがあります。

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第1 相続財産清算人とは?

 被相続人に身寄りがない場合や、相続人がいずれも相続放棄をした場合、相続人は存在しないことになります。

そうすると、相続財産は相続人に帰属しませんので、そのまま被相続人の遺産が手つかずのままとなってしまうおそれがあり、結果、トラブルに発展する場合があります。

 

 また、被相続人の相続人ではないものの、遺言書もない状態で被相続人が死亡したことにより、被相続人と生計を一緒にしていた場合や一定の関わりを持っていた場合、困ってしまうことも想定されます。

 

このような場合、被相続人の相続人ではないものの一定の関りのある立場にある特別利害関係人等として、家庭裁判所に対し、「相続財産清算人」を選任してもらうように申し立てることが考えられます。

なお、管轄は、被相続人の最後の住所地を管轄する裁判所となります。

 

 相続財産清算人は、後述のような調査等を行い、最終的に被相続人の財産整理や管理を行い、債権者等に対する清算後にまだ財産が残った場合、国庫に帰属させることになります。

 

第2 相続財産清算手続の申立てについて

では、実際に、相続財産清算人は、どのように選任してもらうのでしょうか?

 

相続財産清算人は、被相続人の相続人や債権者がいるかどうかを官報等により公告をして調査をし、また、特別利害関係人よる特別縁故者に対する相続財産分与が妥当かどうかについて検討します。

 

 申立をすることができるのは、被相続人の債権者や特別縁故者など利害関係人と言える立場にある者です。

 

 申立をするには、被相続人の相続人が存在しないこと、また申立をする者が被相続人の利害関係人等であることを明らかにする必要があります。

 また、相続財産清算手続の申立ては、申立後、高額な予納金を負担するように裁判所から求められることもありますので、敷居が低いわけではありません。

 具体的に、申立てをする際、被相続人の遺産がどの程度なのか、申立人が把握する範囲で目録を添付しますが、引き続いて、裁判所により選任された相続財産清算人は、相続財産の調査や財産管理、その他、官報への公告など、諸々の手続をする必要があります(なお、清算人は、保存行為以外を行う場合には、裁判所に対し、「権限外の行為の許可」を得る必要があります)。

そのため、被相続人の遺産が多額ではないと見込まれる場合、相続財産清算人の報酬費用等の確保のために、家庭裁判所は、申立人に対し、高額な費用を予納させる場合があります。 具体的なイメージとしては、数十万円から100万円くらいまででしょうか?いずれにせよ、このような高額な申立費用が、手続の利用を阻害する一因であると言えるかもしれません。

 

第3 申立後の手続の流れ

 申立の審判がなされると、その旨、家裁経由で官報に掲載されます。

 

 改正前の相続財産管理手続の場合を例にすると、①2か月間、相続債権者と受遺者へ、被相続人に対する請求債権があるのか申し出るための期間が設けられ、②2か月の期間経過後、相続財産清算人は、知れたる債権者含め、債権者に対する債権の有無と弁済を行い、続いて清算人は、相続人捜索のための官報公告を申し立て、1月くらい後に官報に掲載され③相続人捜索の官報掲載後、6か月間の期間を経て、公告期間が満了した後、初めて④相続人捜索の期間満了後、特別縁故者からの財産分与申立てをすることができました。そして3か月の期間を経た後、分与の審判を裁判所がして、最終の国庫帰属手続が行われます。

 以上の通り、申立てから国庫帰属までの期間は1年半ほどに及びます(途中の官報申立て→公告までの期間も含めて)ので、非常に長期の期間を要しました。

 

 他方、相続財産清算人手続では、上記①と③とを同時に行うことができますし、また②の公告期間は、①と③の公告期間が満了するまでに満了するとされます。そのため、10か月を要した権利確定のために必要な最短の期間が6か月となり、時間短縮が期待できます。

 

第4 相続財産清算人を申し立てるのはどのような場合?

 被相続人の相続人がいないものの、被相続人に対し債権を有する場合や、相続人ではないものの特別縁故者としての財産分与申立てが認められる見込みがある場合には、清算人の選任申立を検討するのも良いでしょう。

 他方、遺産の額、債務額、申立の際の予納金の検討、申立後の手続の流れ等を確認するためにも、弁護士に相談した上で具体的に検討するのも良いと思います。

 自身が相続人ではないものの、被相続人と生前強いつながりがある等、特別縁故者と考えうる場合、まずは弊所に選任申立をするか含めて虎ノ門法律経済事務所神戸支店にご相談ください。

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