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弁護士の村木です。
先日、私が担当していた、神戸簡易裁判所で継続していた民事調停手続事件が、調停成立により終了しました。

民事調停手続とは、裁判所を介した紛争解決手続の一つで、当事者同士の合意によって紛争解決を図ることを目的としたもので、裁判外紛争解決手続(ADR)の一つです。

もう少し詳しく掘り下げると、民事調停手続は、民事調停法で定められた手続で調停主任と2名の民事調停委員により構成されます(同法6条)。
民事調停の決着方法としては、合意に至った場合の①調停成立、話合いがまとまらない場合の②調停不成立が主ですが、さらに話合いがまとまらない場合も、裁判所は「③調停に代わる決定(同法17条)」をすることができます。この場合、2週間以内に決定に異議が申し立てられると、調停に代わる決定はその効力を失い、申し立てられない場合は2週間の経過により、裁判上の和解と同一の効力を有することになります(同法18条)。

このような手続が認められているものの、過去に私が経験した件数は多くなく、あまり活発に利用されているという印象はありません。
何故でしょうか。

通常、弁護士が民事事件を受任する場合、まずは示談の可能性があるかについて模索するため、相手と協議を開始することになります。
そして話合いがまとまるようなら示談書を取り交わして終結し、示談がまとまる余地が無いようなら、訴訟を選択することが多いです。

しかし、民事調停は、上述の通り、基本的に当事者間の話合いが中心です。
折角、民事調停手続を経ても話合いがまとまらず徒労に終わることが懸念されます。
また、強制力がないため、申し立てても相手に無視されてしまうリスクもあります。
他方、裁判手続は、自身の主張を判決で認めてもらうために提起することが多いです。
そのため、民事調停手続を申し立てないのではないかと思います。

それでは、民事調停手続は使えない手続でしょうか。
過去に民事調停手続を申し立てた、あるいは申し立てられた事件の特徴としては、例えば、「裁判を提起しても確実に自身の主張が認められるのかが分からない」、「当事者間の人的関係や背景事情もあって、出来るだけ裁判を回避したい」等が挙げられるように思います。

民事調停では、家事調停と同様、2名の民事調停委員が間に入って話合いを進めることになりますので、相手と直接応対するよりも話合いを進めやすく、また、裁判所が勧める和解内容であれば、当事者も心情的に納得しやすい場面もあります。
また、裁判ほど敷居も高くはありません。
以上のようなメリットがあることを理解した上で、民事調停手続を選択するのも一つだと思います。

いずれにせよ、紛争解決方法は多様なものがありますので、協議だろうと調停だろうと裁判だろうと、いかにその場に合った手続を選択できるのかが肝要でしょう。
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