賃貸物件の借主に退去を求めることができるか?

ご相談者様Kさん(50代男性)
不動産投資家
内容近隣に迷惑をかける賃借人に退去を求めた事案

ご相談までの流れ

相談者は複数のマンションを経営する投資家です。

ある日、所有する物件の一つを管理する会社より、借主が深夜に騒音を出す等でクレームが入っているとの報告を受けたそうです。

管理会社から話を聞いてみた結果、相談者は、賃借人の使用方法に問題があると考え、賃借人に同様の迷惑行為をしないように注意をしてもらうことにしました。

しかし、賃借人から特に意見もなく、却ってその後も同様の迷惑行為が繰り返されたり、騒音の頻度がさらに増したことや居住者で退去を余儀なくされた人が出たとの報告を管理会社から受けました。

また、トラブルになった人が警察に相談することもあったそうですが、そのことを契機に、賃借人が繰り返し警察に通報するようになったそうです。

相談者としても、引き続き賃借人に物件を貸し続けることは難しいと考え、退去の相談をするため、当事務所を訪ねました。

虎ノ門法律事務所での対応・結果

相談者には、初回の来所時に、時系列表や関連する証拠等を持参してもらい、相談に臨みました。
相談を経た結果、賃借人の騒音行為は、賃貸借契約上で取り決めている、賃借人が負う義務としての「他の入居者に迷惑をかけない」点に違反しており、債務不履行解除事由にも該当するとも思えました(実際にはその他の条項にも違反しているおそれがありました)。
しかし、代理人から唐突に明け渡しを求める連絡をしたとしても、これまでの賃借人の態度から無視されるおそれがありましたし、また強く反発してきたり、最終的に訴訟で決着を付けなければならないリスクも高く感じられました。
そこで、当事務所は、6か月の退去猶予期間を設けた解約告知を申し入れることとしました。

解約告知を申し入れる書面を送りましたが、特に賃借人からは一切の連絡がありませんでした。
そこで、当事務所は、定期的に進捗の連絡を賃借人に取ることを試み、結果、退去期間直前に退去を前提とする連絡があり、予定通り、退去予定日に退去してもらうことに成功しました。
その後は、鍵の受渡と物件の状況確認を経た上で、お預かりしている敷金を返金して終了しました。

弁護士からのコメント

退去を求めるに際し、法的に厳しい対応を求めて決着をつけることも大切なことです。
しかし、他方で依頼者と話合いを経た上で、事案に沿ったより妥当な解決方法を模索し、相手方にもそれなりに配慮した決着をつけた方が、円満解決に近づくこともあります。
本件は、解決までの時間が半年程度かかりましたが、賃借人も解約告知後は騒音問題を引き起こすことが無くなったことから、程度の差こそあれ、内省は深めてくれたのかもしれません。
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