相続法の見直しでは、被相続人(多くの場合主人)が亡くなり、残された配偶者がその後も自宅で安定した生活が送れるように優遇されました。自宅を配偶者に生前贈与された場合、現在は、遺産の先渡しを受けたものとして扱われ、遺産分割の時には自宅も相続財産に含めて計算されます。結果、生前贈与が無かった場合と同じ取り分になるという問題がありました。このため、2020年4月からは、生前贈与された自宅は遺産の先渡しという扱いから除外されました。そして、配偶者には、相続開始時に居住していた被相続人所有の建物を使用する権利(配偶者居住権)を新設しました。配偶者居住権は自宅に住むだけの権利で、遺産としての評価額は配偶者の平均余命などから決められるため、所有する場合に比べ低く抑えられその分、他の財産の取り分を多くすることができます。ただし、これは長年の貢献に報いるという意味で結婚20年以上の夫婦間での生前贈与に限られます。
(新民法1028条-1041条)
配偶者の居住権を保護するための方策の要点は、以下の法務省の資料も併せてご参照ください。
配偶者居住権について【PDF】
配偶者短期居住権について【PDF】