23/3/29

前回、民事裁判でWEB裁判の利用が増えてきたお話をしました。

そうしたところ、これまでFAXや郵送しか対応していなかった準備書面や証拠関係についても、インターネットを介して証拠提出できるシステムが拡大してきつつあります。
名称として、表題の民事裁判書類電子提出システム、略してmints(ミンツ)と呼びます。
具体的に、制度自体は、令和4年4月21日から運用を開始しました(第1次)が、さらに対象となる裁判所の範囲が拡大し、現在は、第2次段階です。
今後ですが、本年6月頃から、高裁や地裁本庁まで拡大し(第3次)、本年11月には全ての地裁支部で利用できるようになる見込みのようです。

実際、大阪地裁継続中の民事裁判事件があるのですが、今月、mintsを利用して初めて証拠をインターネット上にアップロードすることで利用してみました。
最初はあ貨運登録をしたり、書面等をアップデートするに際し裁判所作成の解説書を読みながらの試行錯誤でしたが、慣れてきたらいちいち郵送をしなくても、相手方ときれいなデータを共有できるようになるでしょうから、使い勝手は良いかもしれません(当初はA4の紙に限定されていましたが、本年4月1日以降はA3も対応するようになるようです)。
そうは言っても、証拠番号の工夫であるとか、白黒しか対応していないとか、気を付けるべきポイントもありますが。

民事事件では、このように裁判のIT化が進行していますが、弊所で担当することが多い家事事件においては、なかなかIT化は進んでいないように思います。
家事裁判事件については、そもそもMicrosoftteamsによるWEB裁判は利用できませんので、基本的に裁判所に赴くか電話でのやり取りが中心となります。
他方、家事調停事件については、これまでは遠方の場合には電話で裁判所とやり取りする機会が多かったですが、昨年10月からWEBでのやり取り(Cisco Webexアプリ)の利用がスタートしました。
WEB会議を希望する場合、先だって裁判所に対しその旨の上申をし、他方当事者の意見を聞いた上で利用開始となります。
Microsoftteamsではない理由が良く分かりませんが、Webex自体は、弁護士会内の会議でも利用していますので、使い勝手は理解しておりますが、実際に利用してみたところ、若干面倒な部分もありました。
というのも、裁判所からの呼出しができないからか、接続を切るごとに、繋ぐ少し前のタイミングで裁判所よりTELをもらい、予めもらっている招待メールからアクセスすることになります。
そのため、時間が来たら接続→接続を切る→裁判所からの電話→接続→接続を切る…との繰り返しとなります。
ですが、調停員の顔を見ながら話ができること自体は大きな利点だとは思います。

上記の通り、若干接続が面倒からか、それとも調停事件の特質上、顔を見ながらの話の方がなじみやすいからか、近い裁判所の場合には来庁することを促されたりします。
今後はさらにWEBへ移行していくのだとは思いますが、いざ導入された際に取り残されないためにも、アンテナを貼っておくのが肝心でしょうね。

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