弁護士の村木です。
最近、簡易裁判所で係属していた案件で、判決調書の送達方法として付郵便送達が選択された事例がありましたので、ご紹介します。
本件は損害賠償請求事案であり、当方依頼者は相手に金銭の請求をする立場でしたが、協議段階では、途中で連絡が取れなくなってしまい、致し方なく訴訟を提起しました。
ところで、裁判所は、被告の住所地に訴状等の郵便物を送ることがありますが、一般的によく利用される普通郵便などの送達方法ではなく、特別送達という特殊な郵便手段が選択されます。
特別送達では、受取人が郵便局員から直接封書を受け取りますが、受け取りに際し、郵便送達報告書という縦長の紙に署名若しくは押印することになります(書留と違って、受領印を押すというより、誰が受け取ったのかを郵便局員が確認するのが特別送達です)。
なお、受取人は、名宛とされる本人でなくても、例えば自宅に特別送達がなされれば、その家族が受け取ることもあります。
さて、本件に話を戻します。
訴状について、通常通り、特別送達がされたのですが、暫くして、裁判所から被告が不在で受け取らなかった旨の連絡がありました。
そこで、発送日を休日に調整してもらって再送してもらったところ、裁判所より無事に被告に送達された旨連絡がありました。
第1回裁判期日が予定通り開催されましたが、被告は出廷せず、そのまま請求を認める旨の判決が言い渡されました。
再度、判決調書を被告に特別送達されましたが、やはり被告は判決調書を受け取りません。
そのため、裁判所と話し合い、結局、付郵便送達をしてもらうことになりました。
付郵便送達とは、発送の事実をもって、相手が受け取りをしたしないに関わらず、送達されたと見なす送達方法のことです。
付郵便送達を希望する場合、先だって相手の住所地の居住状況の確認や、就業場所の有無について、原告側による調査を要します。
しかし、今回は、幸いなことに、訴訟提起から判決までの期間が短かったからか、調査が必要との指摘まではされませんでした。
そうは言いましても、付郵便送達が選択されたものの、相手が判決に従って任意に支払ってくれるわけではありません。
そのため、おそらく、引き続き強制執行を選択せざるを得ないと思われますので、先は長そうです。
いずれにせよ、依頼者のためにも速やかに解決することを望むばかりです。