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 2020年4月に民法の成人年齢を20歳から18歳に引き下げる動きを受け、少年法の見直しを検討している法務省の法制審議会は、同法の適用年齢を20歳未満としたまま、18、19歳に限って刑事裁判にかける対象犯罪を拡大して厳罰化する答申案を決定しました。(2020年9月9日付)

 少年法は、ここ20年ほどの間に繰り返し見直しが行われました。これは、社会に衝撃や不安を与えるような少年事件が相次いで発生していることからです。平成12年の改正では、刑事罰を科すことが出来る年齢が「16歳以上」から「14歳以上」に引き下げられました。さらに、重大事件については原則として検察に「逆送」して刑事裁判を受けさせる制度がこの時から始まりました。さらに、平成26年の改正では、少年事件の刑を緩和する制度が一部見直されました。このように、少年であっても罪に見合う厳罰が必要であるとの声が高まることにより改正されてきました。

 今回の見直しは、少年法の対象を「20歳未満」から「18歳未満」に引き下げることが議論されました。対象年齢の引き下げについては、法制審議会の委員の間で意見が対立し、今回の答申案では、引き下げについては判断が見送られました。一方で18歳と19歳については、これまでの基本的な枠組みは残しつつ、一部、違う扱いをすることになりました。注目は、現行の「逆送」の対象は、殺人や傷害致死といった「故意に人を死なせた罪」でしたが、今回の答申案では、法定刑の下限が1年以上の懲役・禁固の刑罰が定められている罪(例えば、強盗・強制性交)に拡大されました。これによって、「逆送」によって刑事裁判で懲役刑などを言い渡された場合に少年院ではなく少年刑務所に服役することになります。すなわち、本人の立ち直りを目的とした少年院での更生から少年刑務所に服役し、社会の中で大人として自分で罪と向き合うことが求められることになり、保護の対象から外す少年を増やすことになると考えられます。

 今回の答申案は、法制審議会の総会を経て、法務省から2021年度の通常国会に改正法案として提出される予定です。
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