長年貸していた一戸建て建物の借主から高額な修補代金を請求された!

ご相談者様Tさん(60代・男性)
会社員
内容借主からの建物修繕請求の妥当性について相談したい。

ご相談までの流れ

相談者は、親から実家を相続したものの、県外で仕事をしていたので、実家に居住すること自体難しかった。
そこで、相続後、間もなくして第三者に実家を賃借したものの、そのまま30年ほどの月日が経過した。

そうしたところ、管理会社を通じ、賃借人が、建物を使用収益することが難しい状態にあることを理由に、500万円近い修繕費を負担するように請求してきた。
しかしながら、そのような高額な費用を負担する資金が無い。

果たして高額な修繕費を負担しなければならないのか、今後の対応について検討したい。


虎ノ門法律事務所での対応・結果

1建物の状況確認

相談を経て、賃借人に弁護士が代理人に付いていたこともあって、当事務所の弁護士が代理人として受任することとなりました。

まずは建物の現況を確認するため、現地で確認させてもらうこととし、依頼者が探した業者も引き連れて現地確認をしました。

建物は、築数十年が経過したものの、修繕がされないままでしたので、建物を使用収益する上で欠かせない箇所の修繕(具体的に外壁や構造部分の一部)を行いました。
ですが、相手の主張は、建物の維持管理に必要な範囲の必要費の修繕に留まらず、その価値を高める有益費についても負担させる内容も含んでいたため、その余については、担当弁護士が相手方代理人と交渉することとなりました。

2解決方法の模索
当方が考えた解決方法としては、まずは解約告知を設けた上での建物明渡しを求めることでした。
そこで、諸処の理由を挙げて解約告知を含んだ打診を賃借人側にしたものの、強く拒絶され、訴訟提起も考えましたが、時間を要すること、必ずしも認められるか見通しが立たなかったこと、退去料の負担も必要となる恐れがあること等から、方針を転換することになりました。
再度、依頼者に検討してもらったところ、実家が田舎にありその価値が高いものとは言えないこと、今後の活用方法も見いだせないこと等から、賃借人に譲渡することとしました。

3不動産譲渡による決着
上述の通り、方針が定まったということで建物をどの程度の金額で譲渡するか、また修繕金をどのように評価するのか、検討することとなりました。
建物自体、価値が低く、また高額な撤去費用が見込まれたこともあってむしろマイナス評価のおそれがありました。また、建物の現況を考慮すると、賃料がいささか高額にも思えましたので、一定の修繕費用名目の解決金を負担することで不動産を代物弁済することに決着がつきました。
なお、不動産を安価で処分する場合、譲渡税の発生も懸念されましたので、金額の設定については気を付けながら、最終的に、合意書を取りまとめ、賃借人への移転登記を行い、本件は終結しました。

弁護士からのコメント

最終的に、受任時に想定していなかった決着方法となりました。

解決方法は色々あったでしょうが、依頼者の希望や当職の見通し等加味して、依頼者にとっては最善と言えなくても最良の決着がついたとは思います。

依頼者の意見を踏まえつつ対応する必要性が高い案件でした。

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