20/4/20

 

弁護士の村木です。

 

緊急事態宣言発出を受け、虎ノ門法律経済事務所神戸支店がある神戸市中央区エリアにおいても、多くの店舗が臨時休業を余儀なくされています。

結果、店舗で働く従業員の多くも、休職や自宅待機、在宅ワークを求められることになります。事業主がケアしなければならない休業補償等の問題については前回説明しました。

 

では、事業者がフリーランスと業務委託契約を結んでいる場合は、どうでしょうか?

 

例えば、スポーツクラブのインストラクターや、美容師、エステティシャン等の中には、フリーランスとして事業者側と業務委託契約を結び、顧客にサービスを提供していることがあります。

しかし、フリーランスの場合、事業者と雇用契約関係にありませんので、労働者に適用される労働契約法や労働基準法といった多くの法律が適用されなくなります。

 

そうすると、業績悪化を理由にフリーランスとの契約内容を見直す事業者としても、まずはどのような契約を取り交わしているかについて確認した上で対応することになるでしょう。

 

しかしながら、フリーランスと言えど、労働者と何ら変わらない形で業務に従事させられており、労働の実態があるとして、事業者に対し労働者性が認められる場合があります。

フリーランスの労働者性を判断するに際し、その実態から検討する必要があります。具体的には、「時間的・場所的拘束性が認められるか」「仕事の取捨選択等の諾否の自由があるか」「事業者からの指揮命令に服するか」「業務に必要な備品等の費用を負担するのが誰なのか」「報酬の支払いがどのように取り決められるのか」等の要素が挙げられます。


事業者がフリーランスと業務委託契約を結んだものの、これらの要素を鑑みると、労働者と何ら変わらず労働の実態がある場合、フリーランスは労働者として保護されることになります。

そうすると、業務委託契約書を取り交わしていることを理由に、事業者がフリーランスに業務を任せながら低廉な報酬しか支払わず、不利な扱いをした場合、将来、多額の賠償請求をされてしまうおそれがあります。事業者としても、実態に即した契約の締結を心がけるのがリスクマネジメントに繋がると言えるでしょう。

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