20/4/17
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弁護士の村木です。

令和2年4月7日、安倍内閣より緊急事態宣言が発出され、同日から翌5月6日までの間、兵庫県はその対象区域となりました。

そもそも、緊急事態宣言とは、新型インフルエンザ等対策特別措置法(以下、「特措法」といいます。)32条1項に基づいて、政府対策本部長が新型インフルエンザ等緊急事態が発生したこと等について公示することを指します。
新型コロナウイルス感染症(以下、「新型コロナ」といいます。)については、特措法の一部を改正する法律が令和2年3月13日に国会で成立して同日付で公布され、翌14日に施行されたことで特措法の適用対象となりました。なお、改正の結果、特措法に新たに盛り込まれた附則1条の2には、新型コロナについて、『病原体がベータコロナウイルス属のコロナウイルス(令和二年一月に、中華人民共和国から世界保健機関に対して、人に伝染する能力を有することが新たに報告されたものに限る。)であるものに限る』と規定しています。

6都府県とともに対象区域にされた兵庫県は、緊急事態宣言発出にあたり、その対処方針を決定しました。特措法では、対象区域の知事を特定都道府県知事(同法38条1項)と定義づけ、同法45条1項により、その地域の住民に対し必要な協力要請ができ、同条2項により、学校、一部の社会福祉施設、興行場、その他の政令で定める多数の者が利用する施設を管理する者又は当該施設を使用して催物を開催する者(以下、「施設管理者等」と言います。)に対し、当該施設の使用の制限若しくは停止又は催物の開催の制限若しくは停止その他政令で定める措置を講ずるよう要請することができることになります。兵庫県知事が行った自粛要請はこれに基づくものです。住民に対する要請は協力に留まりますが、施設管理者等に対しては、要請に応じなければ、要請にかかる措置を講ずるように知事から指示される恐れがあります(同条3項)。以上の特措法上の各規定が知事による自粛制限等の法的根拠となりますが、対象区域の住民と施設管理者等との要請の強さが異なることが分かります。

また、政府は、16日付でその対象区域を全国に拡大し、兵庫県含む13都道府県を「特定警戒都道府県」と位置付けました。これにより、全国の知事が特措法上の特定都道府県知事となり上記要請を住民等に行うことができるようになりますが、要請の程度は、新型コロナの感染状況を踏まえ、一律ではないと思われます。いずれにせよ、緊急事態宣言の発出により、我々の生活に多くの影響が出ていますので、今後、コラム欄にて問題となる事例等について取り上げたいと考えています。


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