虎ノ門法律経済事務所神戸支店、弁護士の村木です。

今回は交通事故についての判決事例で、後遺症等級認定や装具代などすぐには治らないようなケガに対する事例やその他交通事故が原因で起こってしまった支障に対する事例をご紹介いたします。
裁判年月日
事例等級認定・賠償額など
東京地判
H7.1.27
自賠責保険の関係では、後遺障害の認定基準に該当しないものの、下顎部の瘢痕を負った被害者(症状固定時20歳、未婚の女性)の慰謝料につき、200万円を認めた事例
非該当
→200万円
さいたま地判
H18.10.10
事前認定非該当とされ、被害者が異議申立てをしなかった場合においても、後遺障害認定についての判断は硬直化しないよう諸般の事情を総合して柔軟に判断すべきであるとして、被害者の頸部痛、頭痛、腰痛、指のしびれにつき、後遺障害と認めた事例
非該当
→約72万円
大阪高判
H21.3.26
事故当日及びそれ以降に行われた頭部X線検査,頭部CT検査及びMRI検査において異常所見が認められなかったものの、被害者の事故後の症状などから、事故による高次脳機能障害を認定した事例
非該当
→9級

裁判年月日事例等級認定・賠償額など
名古屋地判
H14.1.28
遷延性意識障害の18歳男性の症状固定後の装具等について、車椅子については5年ごと、電動ベッドについては8年ごと、福祉自動車については10年ごと、足調整具については3年ごとの買換が必要であるとして器具等購入費を認めた事例
約1,238万円
仙台地判
H21.11.17
後遺障害1級の被害者の介護器具購入費について、加害者側が介護器具の購入にあたっては公的扶助の存在があることを主張したところ、公的扶助の存在をもってその認定額を覆すのは妥当でないとした事例
約1,608万円

裁判年月日事例等級認定・賠償額など
名古屋地判
H15.3.24
後遺障害1級3号の被害者(60歳男性)が、事故から約3年後に、充分な介護を受けるため、通院の利便性や介護者の負担などを考え、マンションを購入した際に、住宅改造費としてマンション購入費用の10%を事故と相当因果関係を有する損害と認めた事例
379万円
名古屋地判
H17.5.17
後遺障害1級3号の被害者(33歳男性)の損害として、家屋床面積の拡大工事、エレベーター設置工事等、家屋改造費用約1,025万円を認め、天井走行リフター設置工事、段差解消機設置工事、エレベーター修理工事等、将来の家屋改造費として、約243万円を認めた事例
住宅改造費約1,025万円
将来の家屋改造費約243万円
東京地判
H19.5.30
事故により遷延性意識障害となった被害者(症状固定時22歳)の自宅に設置されたエレベーター取替費用、その保守点検費用を平均余命分認めた事例
約2,216万円

裁判年月日事例等級認定・賠償額など
神戸地判
H13.7.18
後遺障害併合1級の被害者(51歳男性)の将来の介護費用について、65歳以降は介護保険の介護サービスを受けることができるという加害者側の主張を考慮せず、平均余命の全期間を通じて日額10,000円で認めた事例
将来の介護費用
約5,438万円
東京地判
H15.8.28
後遺障害併合1級の被害者(21歳女性)の将来の介護費用について、母親が67歳になるまでの期間は日額11,692円、それ以降は日額24,000円で平均余命分を認めた事例
将来の介護費用
1億3,200万円
東京地判
H16.6.29
後遺障害1級3号の被害者(27歳男性)の将来の介護費用について、母親による介護が可能な期間は日額8,000円、家族介護と職業介護を併用する期間は日額15,000円、職業介護のみの期間は日額20,000円で認めた事例
将来の介護費用
1億765万円
大阪地判
H21.8.25
後遺障害9級10号の被害者(57歳男性)の将来介護費用を平均余命期間にわたり、日額4,000円で認めた事例
将来の介護費用
約2,015万円

また、治療費・装具代・介護費用・介護のための住宅の改造費以外にも、事故と相当因果関係のある損害については、その賠償が認められることがあります。この点について、以下のような裁判例があります。

裁判年月日事例等級認定・賠償額など
東京地判
H15.9.2
事故の約1ヶ月後のハワイ旅行のキャンセル料を損害と認めた事例
旅行キャンセル料
10万円
名古屋地判
H16.7.7
1事故による50歳女性の死亡により、長女がフランス留学を取りやめた場合のキャンセル料を損害と認めた事例
留学キャンセル費
約15万円
山形地米沢支判
H18.11.24
20歳女性の死亡事故につき、父親が被害者の引越代およびそのために支払った宿泊費等を損害と認めた事例
引越代等
約13万円
東京地判
H19.2.14
事故に起因する高次脳機能障害のため、被害者たる67歳女性の成年後見費用として予納した100,000円を損害と認めた事例
成年後見手続費用
10万円
東京地判
H19.6.27
死亡事故の遺族による目撃者探索用の看板代を損害と認めた事例
目撃者探索用看板代
7万円

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