売主に対し、契約不適合責任を追及していくことが考えられます
第1 契約不適合責任
購入した建売住宅に雨漏りが発生する場合、売主に修繕しても対応してもらえないようならば、欠陥の状態を調査した上で、契約不適合部分、つまり「住宅として備えるべき性質(品質)を欠いている」場合、売主に対し契約不適合責任を追及することが考えられます。
契約不適合責任とは、「引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。」(民法562条1項前文)権利のことです。
契約不適合責任は、2020年4月1日付改正民法で盛り込まれた規定ですが、改正前の「瑕疵担保責任」が改まったものです。
改正前民法において、「瑕疵」とは、「当該売買契約締結当時の取引観念上、その種類のものとして通常有すべき品質・性能、又は当該売買契約に基づき特別に予定されていた品質・性能を欠くこと」とされますが、契約不適合責任では、「契約の内容に適合しないものであるとき」とあるように、契約内容に大きく着目していることが分かります。
第2 契約不適合責任により追及できる権利や行使できる期間とは?
契約不適合が認められる場合、買主が売主に対し行使できる責任追及手段として、「追完請求」、「代金減額請求」、「契約解除」、「損害賠償請求」となります。
瑕疵担保責任は、売主が目的物を買主に引き渡してから、買主が契約不適合部分があることを知ったときから1年以内にその旨の通知をする必要があります(民法566条)。ここで言う通知の内容は、契約不適合部分がある点について指摘することで足ります。
他方、買主の売主に対する損害賠償請求権は「債権」ですので、「債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき(民法166条1項1号)」、「権利を行使することができるときから10年間行使しないとき(同項2号)」、請求債権は時効消滅しますので注意を要します。
但し、新築住宅の売買契約について、「住宅の品質確保の促進等に関する法律、いわゆる品確法が適用される余地があるかどうか、さらに検討を要します。
同法95条では「新築住宅の売主の瑕疵担保責任」について規定しており、「住宅のうち構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分として政令で定めるものの瑕疵」について、買主が引き渡しを受けてから10年間、瑕疵担保責任を追及できます。
第3 本事案の検討
買主としては、新築建物を購入するに際し、雨漏りが生じることを前提にしているわけではありませんので、新築建物に雨漏りが発生することは、契約不適合部分があると言えそうです。買主に対し、契約不適合責任を追及することが考えられます。
但し、契約不適合部分があることを知った時点から1年以内にその旨の通知を要し、また5年以内に損害賠償請求を行使する必要があること(但し、品確法に基づく瑕疵担保責任は、引渡しから10年間行使できる)は注意を要します。
このように、新築建物に雨漏りが見つかった場合、売主にどのように責任追及できるかは、色々な事情を考慮しつつ検討する必要があります。
虎ノ門法律経済事務所では、多くの不動産に関するトラブルを扱った経験があります。新築で購入した不動産に問題があり、売主に対する責任追及を検討される場合、まずはご相談いただければと思います。